老後・年金応用 ・ 約1分ライフプランニング制度確認: 2026年8月
年金は物価ほどは増えない — マクロ経済スライドのきほん
物価が上がると年金も増えますが、同じだけは増えません。少しずつ実質目減りする仕組みと、おかねラボでの扱いを説明します。
執筆視点: ファイナンシャルプランナー / 新人研究員ロイがきいて、先輩ポコがこたえる対話形式です
ロイ(新人研究員)
先輩、朝のニュースで「今年の年金額の引き上げは物価の上昇より小さめ」ってやってたんです。年金って、物価が上がったら同じだけ増えるんじゃないんですか?
ポコ(先輩研究員)
惜しい。方向は同じだけど、同じだけは増えないんだ。年金の改定率は、物価や賃金の伸びから「マクロ経済スライド」という調整分を差し引いて決まる。年金を支える現役世代が減って、受け取る期間(寿命)は延びていくぶん、給付の伸びを少しずつ抑える仕組みだよ。
ロイ(新人研究員)
どのくらい引かれるんですか?
ポコ(先輩研究員)
年によって違うけど、これまでおおむね年0.2〜0.6%ポイントの範囲。たとえば物価が2%上がった年に年金の改定が1.5%なら、差の0.5%ぶんだけ実質価値が目減りする。1年では小さくても、老後の30年ではじわじわ効いて、合計で1〜2割の差になり得るんだ。
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デフレの年には効かない
ロイ(新人研究員)
物価が下がった年はどうなるんですか?
ポコ(先輩研究員)
デフレのときは、マクロ経済スライドによる追加の調整は行われない(引き切れなかった分は翌年以降に持ち越し)。ただし注意点があって、賃金や物価そのものが下がった場合は、その改定ルールで名目の年金額も下がることがある。「スライドで名目額をマイナスにはしない」と「年金額は絶対に下がらない」は別の話なんだ。
ロイ(新人研究員)
おかねラボは、これをどう計算しているんですか?
ポコ(先輩研究員)
公的年金は、物価スライドから年0.5%を差し引いた率で改定する近似にしているよ(スライドで名目額をマイナスにはしない。ただしインフレ率をマイナスにした場合は、賃金・物価下落の改定ルールどおり名目額も下げて計算する)。だから「いまのお金」で見ると、受給が始まったあと年金がじわじわ下がって見える——これはバグじゃなくて、この制度の方向性を簡略化して反映した保守的な近似なんだ(0.5%は制度の固定値ではなく、調整の見込みを丸めた仮定)。満額の物価スライドで計算すると、期間や物価の前提しだいで老後の年金をひと回り多く見積もってしまうからね。
ロイ(新人研究員)
え、下がるのはこの仕組みのせいだったんですね。知らなかった…
ポコ(先輩研究員)
多くの人がそうだよ。この目減りに「気づける」ことが、実はこのシミュレーションの一番の価値なんだ。将来がもっと不安なら、入力タブ→年金・寿命で年金額を1割減らして、厳しめの前提でも試せる。逆に、繰下げ受給で増やす手もある(→「繰下げ受給」の記事)。知ったうえで手を打てるのが強みだよ。
出典(一次資料)
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