家計・守り基礎 ・ 約4分ライフプランニング制度確認: 2026年9月
パートの社会保険、10月から変わる3つのこと — 賃金要件の撤廃・保険料調整制度・会社の規模
2026年10月に「月8.8万円」の条件が条文から消え、加入の線は週20時間と勤め先の規模に。新たに対象になった勤め先では、会社が保険料を多めに負担できる3年の特例も始まります。
執筆視点: ファイナンシャルプランナー / 新人研究員ロイがきいて、先輩ポコがこたえる対話形式です
ロイ(新人研究員)
先輩、10月から「106万円の壁がなくなる」って、パートの母が気にしています。何が変わるんですか?
ポコ(先輩研究員)
変わるのは3つ。①賃金の条件(月8.8万円=年106万円)が加入要件から消える、②保険料調整制度という3年間の特例が始まる、③勤め先の規模の条件が来年以降さらに下がる。順に見ていこう。
① 加入の線は「週20時間」と「勤め先の規模」に
ポコ(先輩研究員)
まず、通常の従業員の労働時間・日数の4分の3以上働く人は、人数や時間に関係なく普通に加入する(通常の加入)。それ未満の短時間労働者が勤め先の厚生年金・健康保険に入る条件は、10月以降は週の所定労働時間が20時間以上・勤め先の厚生年金の加入者が51人以上・学生でない(2か月を超えて働く見込みも必要)の3つ。月8.8万円以上という賃金の条件は撤廃される。実は最低賃金は令和7年度の改定後は全都道府県で1,023円以上(週20時間で月およそ8.9万円)で、週20時間働けばどこでも月8.8万円をわずかに超えていたから、賃金の条件は形の上だけ残っていたんだ。だから10月に急に加入者が増えるというより、条文が実態に追いついた改正だね。
ロイ(新人研究員)
じゃあ、健康保険の扶養の130万円はどうなるんですか?
ポコ(先輩研究員)
そちらは別の制度で、そのまま残る。週20時間未満なら勤め先の規模を問わず、51人未満の勤め先なら週20時間以上でも通常の労働時間の4分の3未満なら、勤め先の社会保険には入らない。その場合、年収130万円未満までは配偶者の扶養に入れる(19〜22歳の子など、配偶者以外の親族は150万円未満)。それと2026年4月からは、労働契約の時給・時間・日数から見込んだ年収が130万円未満で、ほかに収入がなければ原則として扶養と扱う取り扱いが加わった。契約の時給と時間から自分の年収の見込みを出しておくと、判定の実務に近い数字になるよ。
② 保険料調整制度 — 会社が多めに負担できる3年間
ポコ(先輩研究員)
10月に始まる新しい特例。新たに社会保険の対象になった勤め先(2026年10月以降に任意で適用事業所になった事業所や、2027年10月以降の規模の引下げで対象になった事業所)が申し出ると、標準報酬月額12.6万円以下の短時間労働者の保険料を会社が多めに負担できる。たとえば標準報酬月額8.8万円以下なら、1〜2年目は本人25%:会社75%(通常は50:50)、3年目は軽減が半分になって37.5%:62.5%。事業所が申し出た月から通算3年。ポイントは、保険料が軽くなっても将来の年金額は減らないこと。会社が多めに払った分は後の保険料から差し引かれる仕組みだから、会社の負担が増えるわけでもない。
ロイ(新人研究員)
うちの母の勤め先(スーパー・厚生年金に入っている人が100人以上)は対象になりますか?
ポコ(先輩研究員)
残念ながら、以前から社会保険の対象だった事業所は対象外。あくまで「新たに対象になった事業所」の、加入したての人の手取り減をやわらげるための時限措置だ。なお「51人」は従業員の頭数ではなく厚生年金に入っている人の数で数える(頭数100人でも加入者が50人以下なら、来年以降の引下げで新たに対象になることもある)。対象になるかは勤め先(事業主)の申出しだいだから、気になるなら会社に聞いてみるのが早い。
③ 勤め先の規模は段階的に下がる
ポコ(先輩研究員)
「51人以上」の条件は、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月に撤廃の予定。いま対象外の小さな勤め先で週20時間以上働いている人は、数年内に加入することになる。加入すると手取りは一度下がるけど、将来の厚生年金が増える・傷病手当金と出産手当金の対象になるという見返りがある — 「谷」を越えるなら一気に越える、が定石だ。
ロイ(新人研究員)
おかねラボでは、どう試せますか?
ポコ(先輩研究員)
「年収の壁」の記事の図とスライダーで、パート年収を動かしたときの世帯の手取りの谷が見える。入力タブの配偶者の働き方を変えれば、加入したときの保険料が計算に入る。もしもタブで働き方や年収を変えた場合は、ねんきん定期便の見込額を入力済みなら、将来の厚生年金の増減も連動するよ。ただし保険料調整制度の軽減は反映していない(保険料は通常の折半で計算)。対象になる人は、1〜3年目の手取りが計算より少し多くなる、と読み替えてね。
出典(一次資料)
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の推奨・勧誘や保険募集ではありません。金融商品取引法に基づく投資助言業の助言を提供するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。制度の内容は執筆時点のものであり、将来変わる可能性があります。個別の税務・社会保険の取り扱いは各制度の窓口や専門家にご確認ください。 プライバシーポリシー ・ 特定商取引法に基づく表記 ・ 利用規約