考え方基礎 ・ 約2分不動産制度確認: 2026年8月
賃貸と持ち家、どっちが得? — 答えは「前提次第」
家賃とローン返済額の単純比較は誤り。両者の費用構成の違い・見落としやすい維持費と機会費用・有利になりやすい条件を整理し、最後は自分の前提で試します。
執筆視点: ファイナンシャルプランナー / 新人研究員ロイがきいて、先輩ポコがこたえる対話形式です
ロイ(新人研究員)
先輩、SNSで「賃貸か持ち家か」の論争を見たんですけど、賃貸派も持ち家派もお互いに「計算できてない」って言い合ってて…。結局どっちが得なんですか?
ポコ(先輩研究員)
先に結論を言うと、この論争に万人共通の正解はない。将来の家賃・金利・住宅価格・そこに何年住むか — 結論は前提しだいでひっくり返るんだ。だからまず「払っているものの中身」の違いから整理しよう。賃貸は家賃と更新料を払い続ける代わりに、住み替えの自由という身軽さを買っている。持ち家はローンの利息・購入時の諸費用・修繕などの維持費・固定資産税(標準税率1.4%)を払う代わりに、完済後に資産が残る。
ロイ(新人研究員)
でも「家賃は掛け捨て、ローンは資産になる」ってよく聞きますよ?
ポコ(先輩研究員)
そこが一番よくある誤りで、家賃とローン返済額を並べて比べてはいけないんだ。ローン返済のうち利息の部分は、家賃と同じ「消えるお金」。諸費用・維持費・税金も消える側だ。資産に変わっていくのは元本の返済分だけ。だから正しい比較は「家賃 vs 返済額」じゃなくて、「賃貸の総コスト」vs「持ち家の消えるコスト+最後に残る資産の価値」なんだよ。
ロイ(新人研究員)
ほかにも見落としがちなもの、ありますか?
ポコ(先輩研究員)
機会費用だね。頭金や諸費用として払う数百万円の現金は、払わなければ運用に回せたはずのお金 — この分を持ち家側のコストに入れ忘れる比較が多い。逆に持ち家には住宅ローン控除(年末残高の0.7%・最長13年。住宅の性能や入居年により10年)という追い風もある。プラスもマイナスも両側にあるから、どれか1つだけ取り出して「だからこっちが得」と言う議論は、だいたい何かを忘れているんだ。
有利になりやすい条件
ポコ(先輩研究員)
傾向は整理できる。持ち家が有利になりやすいのは、同じ場所に長く住む予定・低い金利で借りられる・賃貸だと割高になる広さが必要、という条件が重なる人。賃貸が有利になりやすいのは、転勤や家族構成の変化で住み替える可能性が高い人・手元資金の厚さと身軽さを大事にしたい人。一番効く変数は「何年住むか」で、短期で手放すほど、購入時の諸費用と売却の費用が重くのしかかって持ち家は不利になりやすい。
ロイ(新人研究員)
それでも「最後に資産が残る」のは大きくないですか?
ポコ(先輩研究員)
大きいよ。ただしその資産はすぐには現金化できない(売るには時間も費用もかかる)し、価格が下がる可能性もある。つまり「いくら残るか」は、何十年も先の住宅価格という誰にも分からない前提を置いた瞬間に決まる数字なんだ。ここを断定できない以上、「どちらが得か」も断定できない — それがこの論争の正体だよ。
最後は自分の前提でシミュレーション
ポコ(先輩研究員)
だから一般論で決着をつけるより、自分の数字で試すのが一番誠実な答えになる。おかねラボなら入力タブに購入価格・金利・維持費を入れて、家賃を払い続ける場合と資産推移を見比べられる。そのうえで、もしもタブで金利や住宅価格の前提を揺らしてみて — 前提をどれだけ動かすと結論が入れ替わるかが分かれば、SNSの論争よりずっと自分の役に立つ答えが手に入るよ。
出典(一次資料)
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